2014年5月3日土曜日

【第20回宮崎映画祭上映作品その4】『ニシノユキヒコの恋と冒険』

映画を観る時に、まず私たちの目に映るのは俳優さんの演技や風景としての映像です。好きな俳優さんが出ているからという理由で映画を選ぶこともあるでしょう。映画作りにはもちろん俳優さんのみならずたくさんのスタッフが関わっていて、その現場の雰囲気が自ずとできあがった映画に反映されているのではないかと思うことがあります。


映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』は、芥川賞作家の川上弘美さんの同名小説を原作とした作品。タイトルからもわかる通り、恋愛をひとつのモチーフにした映画です。井口奈己監督の映画では、これまでの作品(『犬猫』や『人のセックスを笑うな』等)でも登場人物たちの恋愛模様を描いています。

© 「ニシノユキヒコの恋と冒険」製作委員会

今作のメインキャラクターであるニシノユキヒコを演じるのは、老若男女の人気者といっても過言ではない竹野内豊さん。そして、ニシノに恋する女性たちを、尾野真千子さん、本田翼さん、成海璃子さん、木村文乃さん、阿川佐和子さん、麻生久美子さん、ニシノの物語の聞き手としての役割も果たす少女を中村ゆりかさんが演じています。
このキャスティングだけでも、目の保養になりそうだし、映画だけに留まらない幅広いシーンで大活躍なメンバーで、ワクワクさせてくれます。

私は当映画祭の上映より一足早く福岡の劇場で観てきたのですが、この豪華な女優陣のみなさんがとにかく可愛い!
女優さんが可愛いなんて当たり前のようですが、今作はその当たり前に加えて、まるで人の恋愛を本当に覗いているみたいな、映画ということも忘れてこっちまで耳が赤くなってしまうような艶やかな表情を見せてくれるのです。

これって、凄いことじゃないかと思います。
女優さんは演技をしていると思うけれど、その表情から本当にドキドキしているのが伝わってくるし、それを引き出せたのは紛れもなく監督や周りのスタッフのみなさん。今まで見たことない尾野真千子や本田翼が見られるのは保証します。

井口監督の映画ではいつも恋をしている男女の姿が見られるけど、その人の剥き出しの部分が見えてドキッとしたり、観客の私たちの側にもそういった心当たりがあってハッとしたりして、そこにそれぞれの人生があるから映画体験としていつも新鮮で心地よいのだと思います。

© 「ニシノユキヒコの恋と冒険」製作委員会

そして今作は、少し湿った風のにおい、いい角度で折り返した坂道、海の見える線路、出てくるだけでちょっと嬉しい映画館、音楽、タイトルバックのイラスト等、すべてが重なっていい感じにリラックスして観られます。
ニシノがすべての女の人を虜にしてしまうように、観る人それぞれに違った懐かしさや頷きを与えてくれるこの映画。映画館まで、ぜひニシノに会いに来てください。


0 件のコメント:

コメントを投稿